野茂英雄選手(元メジャーリーガー)にみる先駆者の悲哀

イチローやダルビッシュなど日本プロ野球でトップの成績を収めた超一流選手はこぞってメジャーリーグに流出する昨今。今年5月には日米での活躍が認められて、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄氏と共に国民栄誉賞に選ばれたのが松井秀喜氏です。彼らの活躍の陰で忘れてはならないのが、野茂英雄氏です。ご存じの方も多いと思いますが、近鉄バッファローズから、ロサンゼルスドジャースに入団。それまで、日本人メジャーリーガーは皆無の時代で(1964年サンフランシスコ・ジャイアンツで活躍のマッシー村上氏くらい)契約もマイナーリーグ扱い。開幕するや、独特のトルネード投法で直球とフォークボールの2種類だけで、並み居る強打者をばったばったと三振にとり、ルーキーの1年目にオールスターのナリーグで先発投手を務め、奪三振王のタイトルもとり、引退までに123勝を挙げ、アリーグとナリーグの両リーグでノーヒットノーランの偉業(長いメジャーリーグの歴史で野茂投手以外3人しかいない)を成し遂げた大投手です。当時、小生も早朝に起き、正座しながら衛星放送で固唾をのみながら、投球を楽しみにしていたのを思い出します。この野茂投手の大活躍がなければ、今日の日本人メジャーリーガーは誕生しなかったのではといわれるくらいです。そういう意味では野茂投手にも国民栄誉賞を授与してもよいのではと個人的には思っています。先駆者の悲哀を感じずにはおれません。医学界に目を転じると、再生医療に期待の目が集まり、IPS細胞の先駆者の京都大学の山中教授(同じ神戸大学出身・母校の誇りです)にはノーベル賞が授与され、努力が報われていますが、世の中には数多くの分野で先駆者たらんとする研究者たちが寝食を忘れて研究に没頭されています。その中で日の目を見るのはごくわずかですので、そういう先駆者たちに野茂投手の姿がだぶって見え、彼らにエールを送らずにはおれません。